ミステリーとサスペンスってどう違うのだろうと、カテゴリー分けするときにはいつも考え込んでしまいます。
事件が発生し、それを捜査する過程や謎解きのおもしろさ。
犯人に対する恐怖、そして被害者への同情や共感する主人公たちの優しさなど、ドラマごとに違った個性があって思わず引き込まれてしまう、これは成功したドラマならでは。
そういうわけで、一話完結のミステリードラマ10選をご紹介しますね。
エレメンタリー ホームズ&ワトソン
2012年~2019年、7シーズン154話
主演 ジョニー・リー・ミラー、ルーシー・リュー、エイダン・クィン、ジョン・マイケル・ヒル
このドラマの舞台はニューヨークで、コナン・ドイル原作の有名な探偵シャーロック・ホームズと助手のワトソン博士が、現代人となって活躍するという設定です。
ホームズは、アスペルガー症候群っぽい性格でイギリスの大富豪の息子、そしてコカイン依存症を克服中、元外科医のジョーン・ワトソンが世話役として同居中です。
ふたりは探偵でもありニューヨーク市警の顧問となって、グレッグソン警部とベル刑事を助けて事件を解決するわけです。
なんとワトソン博士が女性で、舞台がロンドンではなくニューヨークという、原作のシャーロック・ホームズファン仰天のドラマですが、原作のファンも満足するよう、わかる人にはわかるお楽しみも隠されているのです。
なお、「エレメンタリー」は、基本的な、初歩的なという意味で、ホームズの口癖の「初歩的なことだよ、ワトソン君」から来ているということです。
名探偵モンク
2002年~2009年、8シーズン、124話
主演 トニー・シャローブ、ビティ・シュラム、テッド・ラヴィン、ジェイソン・グレイ・スタンフォード
このドラマの舞台はサンフランシスコで、妻を殺されたショックで強迫性障害を患って休職中の市警察の刑事エイドリアン・モンクが、嘱託として介助役のシャローナとともに事件を捜査し、謎を解いて事件を解決するストーリーです。
モンクは人並みはずれた観察力、洞察力があり、伝説的な捜査能力を買われているのですが、反面、かなりこだわりが強くて潔癖症という、癖の強い人です。
このモンクを気が強い看護師のシャローナが上手にコントロールし、上司のストットルマイヤー警部とディッシャー警部補、精神分析医のクローガー先生などの脇役たちとのおもしろい絡みも見どころです。
8年続いたのでシャローナからナタリーに介助役が交代しましたが、子供から大人まで楽しめるミステリーとして人気がありました。
なお、モンク役でトニー・シャローブはエミー賞コメディー部門の主演男優賞など、数々の賞を受賞しました。
ミステリーinパラダイス
2011年~継続中、10シーズン、80話以上
主演 ベン・ミラー、サラ・マーティンズ、ダニー・ジュール
このドラマは、カリブ海のフランスの海外県で架空のセントメアリー島にある警察署オノレー署が舞台です。
イギリスのスコットランドヤードから派遣された警部補が、地元出身の署員らと一緒に殺人事件を解決するストーリーです。
かなりユニークな歴代警部補が、アナログ的な事件の相関図とか聞き込み調査などからの推理をもとに、最後に事件の関係者(容疑者)を全員集めて事件の全貌を披露、犯人を突き止め自白で逮捕というミステリードラマ王道のパターンです。
このドラマの撮影は、実際にグアドループというカリブ海の島で行われているため、実に美しい景色が楽しめますが、数年ごとに主役や脇役が交代するほど、撮影はけっこう大変なようです。
しかし、イギリスのドラマでおなじみの俳優たちが、カリブ海旅行と出演を兼ねたみたいにゲストで出演するのも見どころです。
ブラウン神父の事件簿
2013年~継続中、8シーズン、90話以上
主演 マーク・ウィリアムズ、ソーシャ・クーザック
イギリスBBC制作のドラマで、G.K.チェスタトン原作です。
原作では第一次世界大戦後なのですが、このドラマは第二次世界大戦後の1950年代に変更。
そして舞台は、イギリス南西部のコッツウォルズにある架空のケンブルウッド村です。
この美しい田舎町のカトリック教会所属のブラウン神父とその仲間たちが、村で起こった事件の解決に奔走するドラマです。
ふくよかなブラウン神父と秘書のマッカーシーさんは好奇心旺盛で、特に神父はけっこう厚かましく、信徒さんの家にお呼ばれしたりすると、嬉しそうにお茶やお菓子をいただいたり、部屋に入り込んで骨とう品や蔵書に見入ったりします。
マッカーシーさんもかなりの噂好きのおばさんです。
しかし、それが功を奏して事件解決のきっかけになるのが、このドラマの見どころで、田舎町の素敵な風景、そして1950年代ののんびりした雰囲気、それにぴったりの憎めないキャラたち、それに謎ときのおもしろさもあってイギリスでは大人気。
なんと同じ時代の設定のグランチェスターは、ブラウン神父人気に便乗して作られた、という噂があるということなんですよ。
グランチェスター牧師探偵シドニー・チェンバース
2014年~継続中、6シーズン35話以上
主演 ジェームズ・ノートン、ロブソン・グリーン、トム・ブリトニー
イギリスITV制作のドラマで、ジェームズ・クランシー原作です。
舞台はケンブリッジシャーのグランチェスター村で、聖公会の教会に赴任してきた若い牧師シドニーが、地元警察のキーティング警部と一緒に色々な事件を解決するストーリーです。
1950年代と言う設定なので、シドニー牧師はブラウン神父と同じように、自転車に乗って美しいイギリスの田舎を奔走するのも、見どころです。
シドニー牧師は第二次世界大戦に従軍し、色々トラウマを抱えてお酒とジャズにのめり込みがち、叶わぬ恋もとけっこう問題ありの人ですが、なんと原作者の父でカンタベリー大司教(チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式を司式した方)がモデルなんですよね。
また、彼を支える周囲の人間たちも、ツンデレ家政婦のマグワイア夫人、ゲイでアスペルガー症候群っぽい副牧師フィンチ、キーティング警部の一家、わんこのディケンズなど個性的な面々です。
シーズン4でジェームズ・ノートンが降板、終了の噂もあったけれど主役が交代して継続しているのは、脇役たちの魅力もあってこそではと思います。
コールドケース迷宮事件簿
2003年~2010年7シーズン、156話
主演 キャサリン・モリス、ジョン・フィン、トム・バリー、ダニー・ピノ
このドラマの舞台は、ペンシルベニア州フィラデルフィアで、市警察のコールドケース専門の殺人課の刑事たちが、未解決の昔の事件(コールドケース)を捜査して解決するストーリーです。
アメリカでは殺人事件に時効がないため、未解決事件の資料は箱にまとめられ、保管庫に保存されています。
このドラマは、まず最初に、何十年も前の事件時の被害者の様子と当時のヒット曲のBGMなどで描き、新証拠の発見、遺体発見などで再捜査が開始します。
そして関係者への聞き込みなどで回想シーンとかで当時の雰囲気を再現し、犯人逮捕に至ると、被害者の亡霊があらわれて感謝のまなざしを送って消えて、差塩には解決と書かれた箱が保管庫に納められるという、涙なくしては語れないようなパターンでした。
事件が起こった当時の雰囲気をあらわすためのBGMに使われたヒット曲の著作権が膨大で、DVD化できないということですが、昔の事件当時のアメリカの世相を知ることが出来てなかなか勉強になるドラマでもあるんですよね。
刑事ジョン・ルーサー
2010年~継続中 5シーズン、20話以上
主演 イドリス・エルバ、ルース・ウィルソン、インディラ・ヴァルマ
イギリスBBC制作のドラマで、ロンドンが舞台です。
主役のルーサー刑事はロンドン警察の重罪犯罪班の刑事で、絵にかいたような事件にのめり込み周囲に誤解される典型的なタイプで、一匹狼。
そんなルーサー刑事は、第1話の事件で、完全犯罪を目論んだ天才物理学者のアリスが犯人と看破、しかし証拠がなくて立件できず、その後、なぜかアリスに気に入られて付きまとわれ、アリスは色々な事件についてルーサーにアドバイスしたりという不思議な関係になる、これがこのドラマの見どころのひとつでしょう。
ルーサーは事件の被害者や容疑者など、知り合った人たちに頼まれると法律違反だろということまでして助ける人です。そして、一匹狼で不愛想な性格のせいか、ロンドン警察内部からもあらぬ疑いをかけられたりと、常に敵がいるのにアブナイ橋もわたる人なので、よく絶体絶命のピンチに陥るが、それをどうやって切り抜けるかも見ものなんですよね。
しかしちょっとネタバレになりますが、ただでさえ少ないルーサーの理解者たちがなんで不幸な目に合うの?とかなり暗い気持ちになり、ますます哀愁漂うルーサーを応援したくなるドラマでもあります。
リッパーストリート
2012年~2016年5シーズン、37話
主演 マシュー・マクファディン、ジェローム・フリン、アダム・ローテンバーグ、ミアンナ・ブルング
イギリスBBCの制作のドラマで、1889年ヴィクトリア朝末期の、有名な切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の最後の事件から5ヶ月後から開始です。
ドラマの舞台となっているのは、イギリスはロンドンの場末イーストエンドのさらに場末といわれた、ホワイトチャペルで、もちろん切り裂きジャック事件のあったところの警察分署H署です。
主人公のエドムンド・リード警部は切り裂きジャック事件を担当した実在の人物で、リードの右腕で元軍人のフリン刑事、そしてアメリカ人のうさん臭い元外科医ジャクソンが検視を担当し、色々な事件をわりと荒っぽく解決していきます。
19世紀末が舞台なので、古い町並みの残っているアイルランドのダブリンなどで撮影されました、
それに女性のファッションから当時はまだ違法でなかった娼館とか、色々な価値観の現代との違いが興味深いドラマで、放送当時はアメリカでも評価が高かったということなんですよね。
スリーピー・ホロウ
2013年~2017年 4シーズン62話
主演 トム・マイソン、ニコール・ベーリー、リンジー・グリーンウッド
これはアメリカ北部に伝わる伝説をもとに書かれたワシントン・アーヴィングの「スリーピー・ホロウの伝説」が原作のドラマです。
1781年のアメリカ独立戦争で、4騎士の一人の「死の騎士」と戦って首を切り落としたが、深手を負って命を落としたイギリス人兵士のイカボッド・クレーンが、250年後にスリーピー・ホロウ村で甦えり、アビー刑事と共にヨハネの黙示録の選ばれた戦士として、同じくよみがえった「首なし騎士」や邪悪なモロクたちと戦うミステリーです。
オカルトっぽいドラマなのですが、クレーンはアメリカ側に加担した若いイケメンでインテリのイギリス貴族。彼が21世紀の現代にびっくりしたり、独立戦争時のリアルな話を持ち出して歴史の誤解を解いたり、その逆もあるなど、コミカルな話もなかなかの見ものです。
ハッピー・バレー 復讐の街
2014年~継続中、2シーズン12話
主演 サラ・ランカシャー、シオバン・フィネラン、ジェームズ・ノートン
イギリスBBCの制作のドラマで、舞台はヨークシャー州にある架空の町ハッピー・バレーです。
主人公のキャサリンはパトロール警官で、じつに有能でしっかりした40代の離婚女性。
キャサリンの家族は、アルコール依存症を克服中の妹と、孫の男の子です。じつは孫を産んですぐに娘が自殺、その孫を受け入れられない夫と別れ、キャサリンは孫を育てるためにパトロール警官に降格したわけです。
このドラマは1話完結ではなく、1シーズン6話を通して同じ事件を描いていて、また、キャサリンの娘の自殺のきっかけになった男で孫の父でもあるトミーが関わってきます。
このドラマの舞台である不況にあえぐ荒涼としたイギリスの地方都市の風景や、田舎町ならでは狭い人間関係のネットワークが事件解決に影響するところ。
そして「グランチェスター」で牧師、「戦争と平和」で貴族軍人役だったイケメンのジェームズ・ノートンが演じるトミーのクズっぷり(お母さんが見て泣いたらしい)も見どころでしょう。
それ以上に、問題山積みでもたくましく生き抜くキャサリン警官を応援したくなる、元気がもらえるドラマではないかと思います。
このドラマ、イギリスでは数々の賞を受賞して評価が高いということなんですよね。
まとめ
こうしてラインアップを見ると、舞台になった場所や時代、登場人物の個性などで、こうも違うのかと思うほどです。
ドラマの制作者たちは、他のドラマとは違うものを作るように心がけているということだし、俳優さんたちも、イケメンで強くて正義感がある好青年なんて退屈、完全な人間じゃないところが面白いんだよ、という感じです。
また、多くの優秀な脚本家たちは、法律雑誌や新聞記事も読みあさり、実際の事件をもとにリアルなストーリーを作り出すのが上手なため、今後も一話完結のミステリーはネタ切れなしで楽しませてくれることでしょう。
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